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r-fukai's Diary ausf blogger

木曜日, 3月 03, 2005

テレビで自閉症

私の母親は典型的な田舎の人である。
どの辺が典型的かといえば、時々、信じられないくらいの偏見を露にするという点においてである。
例えば、私が小学生くらいの頃、近所(つっても、私の呼吸器系の疾患のためにかなりの田舎に居を構えた当時の話で、数百平米の原野と竹林で隔てられた隣の家であったが)に自閉症を患っているらしい子供がいた。
その子を見て私の母親は「赤ん坊の頃からテレビばかり見せて育てると自閉症になる」と言っていた。
当時から疑り深かった私は「本当にそうなのだろうか?」とは思いつつも突っ込んで調べることもせずに今に至っているわけなのだが(今の私は自閉症が先天的疾患であることを知っているので、はっきりとそれは間違っていると断言できる)、森「ゲーム脳」昭雄の「ゲームをやると自閉症になる」発言に言及したページのリンクをたどっているうちに、私の母親と同じことを言っている大学教授がいるという驚愕の事実に突き当たった。
http://www.autism.jp/k-05-asahi.htm
http://www.be.asahi.com/20030503/W25/0014.html
http://www.kawasaki-m.ac.jp/pediatrics/kataoka/koudougakkai/H16.10.1nihonkoudou.htm
リンク先を読んでもらえれば判ることだが、川崎医科大学(岡山県倉敷市)の片岡直樹という教授である。
一番最後のリンク先にある、片岡教授が自ら書いた論文では、本文中ではテレビによって引き起こされると報告している症状に関して「新しいタイプの言葉遅れ」と表現し、自閉症と同じ分類に置かれる「自閉性言語遅滞」に当たる、としている。
つまりここではテレビが原因であるとしている症状は、自閉症とは別の病気であるという認識をしている。しかし、この論文中には「テレビと自閉症との関係」という章も存在しており、片岡教授自身はこの病気を、自閉症と区別する必要性を感じていないのではないか、とも推測される。
要するに、症状が似ているから自閉症と診断されて医者に連れてこられる可能性(というよりは、経験か)が高い。よって、現場の人間としてついつい自閉症と呼びたくなってしまう、ということなのだろう。
その態度は学術的にも政治的にも正しくない(あんまり「政治的に正しい」という言葉は好きではないけれども、この場合に相応しい表現が見つからないので敢えてこう書く)。
先天性の自閉症を患っている子供を持つ親からすれば、ただでさえ苦しいのに、この説が一般に流布されれば、さらに世間から「テレビに頼って子育てを放棄した親」という偏見の目に晒されることになるわけで、反発するのは当たり前である。
普通、こういう場合は新しいカテゴリーを作ってそこに分類するのではないだろうか。結果が同じであっても、原因が異なるのであればそれは別の病気とするべきだろう(高熱を発する病気が全て同じ病名になるわけではないのと同様に)。先天性で治療方法が確立していない病気と、後天性で一定の治療実績がある病気を同じ名前で呼ばれたら大混乱を引き起こすのは必定である。
論文の内容自体にもいろいろと突っ込みどころがあるようなのだが、それは既にやった人がいるので同じことはしない。
http://takoyaki-tako-tako.de-blog.jp/takotako/2005/02/post_22.html
以前取り上げた森「ゲーム脳」昭雄の発言は、この片岡教授の論文を受けて、我田引水的な論理展開を経て為されたもののように感じる。
すなわち、「テレビが原因で自閉症様症状を起こす乳幼児がいると言っている人がいる」→「ゲームもテレビを用いているし、ゲームもテレビも子供が夢中になる」→「自閉症は脳の機能障害だ」→「痴呆症は脳の機能障害だ」→「ゲーム脳もそうだ」→「ゲームでも自閉症になる(に違いない)」(上に書いたように元の論文が混乱しているので、二次引用では自閉症様症状と自閉症の区別が消失してしまう)。とまあこのようなことが森「ゲーム脳」昭雄の内部では起きたのではないか。

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