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r-fukai's Diary ausf blogger

金曜日, 1月 28, 2005

「クニミツの政」から今のメディアに足りないものを考える

http://d.hatena.ne.jp/rna/20050127#p2
週刊少年マガジンで連載中の「クニミツの政」というマンガがあって、それで慶応大学病院の近藤誠という医師の、世間の認識とはだいぶずれた説を肯定的に紹介したらしい(伝聞)。
ちなみに、私はこのマンガをほんの少しだけ読んだことがあり「現代社会を舞台にして、主人公のDQNが自分よりもさらにDQNな奴をDQN的方法でなんとかする話」だと認識し、私の好みとは合わないので読むことを止めた。特に「現代社会が舞台」「主人公のDQN」ってところが駄目。片方だけなら許せるが、ANDで来られたらもう駄目。
閑話休題。
日本は思想や良心の自由が保障された国だからして、自分の信ずるものに従って何を言うのも基本的には自由なんだけど、その結果として何を言われるのもやっぱ自由であることが望ましいと私は個人的には思う(なぜか名誉毀損という変な法律があって、実は自由ではないのだけれど、これに関しては脇道なのでここでは掘り下げないことにする)。
とはいえ、インフルエンザという強い感染力とそこそこの死亡率を持つ法定伝染病に関する話題で、まだ広く認められたわけではない説を、影響力の強いメディアで無批判に流すというのはいかがなものかと思う。
近藤医師の基本的なスタンスは「いくつかの病気に関する治療は行なわずに放置することが望ましい」というものであるようで(しばしば同様の主張をオカルト関係の本で見掛けるが、科学的検証を行なった上でそう主張しているのならば誰も問題にすまい)、インフルエンザに関してもその態度で臨んでいるようだ。
私は小学生の頃にインフルエンザで死に掛けたことがある(横になって目をつぶっているのに眩暈がとまらないという経験をしたのは後にも先にもこの時だけだ)ので、自分の親が近藤医師の説に感化されていなくて本当に良かったと思う。もしあの時あのまま放置されていたら、おそらく私は死んでいたか重大な後遺症を患っていただろうと思うからだ。
百万人に一人が原因不明の症状を発症するからといって、インフルエンザ患者に対する医療行為を全て止めてしまうこと(近藤医師の主張を真に受けるとこういうことになる筈だ)が正当な行為であるかどうか、インフルエンザに関する知識を一通り揃えてから考えてみて欲しい。そのときには、年間一万人内外の死者がでているのに、自動車の利用を止めようというコンセンサスが得られないことも考慮に入れてもらいたい。
再び閑話休題。
週刊少年マガジンというメディアの影響力は、日本ではトップレベルであると考えて差し支えないはずである。購読者層が若年層に偏っているという難点があると考える人も居るだろうが、若年層が週刊少年マガジンから得た知識でこの先自分に起きることを判断するという可能性を考えれば、影響力を過小評価することは危険だろう。
常識に照らして明らかに間違った知識であれば、その知識に左右されるのは、常識を磨かなかった本人の責任と言えるかも知れないが、一見もっともらしく見える間違った知識というのは始末に負えない。それが自分や他人(それがたとえ自分の子供であったとしても自分ではないのだから他人だ)の生命に関わる問題ならば尚更である。
広く行なわれている医療行為に関してメディア上で批判を行なうことは悪いことではない。例えば、それが医学関連の学会誌なら積極的に行なうべきである。だが、素人が読むメディア上でそのような情報を発信する場合には、その医療行為を選択しないことによって発生する出来事に一通り心をめぐらせてみてから可否を判断する必要があるのではないか。
現在のメディア関係者に一番足りていないのは、その「一通り心をめぐらせてみる」ための想像力ではないかと私は強く感じる。