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r-fukai's Diary ausf blogger

金曜日, 8月 03, 2007

加地尚武 「福音の少年 ~魔法使いの弟子~」(徳間デュアル文庫)

とりあえず読了。この本の最後ではオチもなにも付いていない。
後半まで読み進んで、なんか話のつながりがえらく唐突だなぁと思っていたら、元は一冊だった本を分冊にして出したらしい。分冊であることがタイトルからは全く想像もつかないのは酷いと思う。だったら全部同時に出して欲しい(良く見ると、帯に5ptくらいの字で書いてある)。
19世紀末に起きたある事件がきっかけで、一部の人間に魔法が使えるようになったという世界設定なので、科学もそれなりに進んでいる。でも魔法はブラックボックス扱いで、科学的な探求の対象になったのはつい最近のことのようだ。なんかそれもいかがなものか、と思うわけで(ニュートンとかエジソンとか、最終的にオカルトに手を出した科学者はいっぱいいるのだし、何よりも観測可能な未知なるものが突然現われて、それに興味を示す科学者が全くいないなどという状況は不自然すぎる)、魔法がブラックボックス扱いである理由は続巻できちんと明かされるのかどうか、結構気になる。
錬金術の目的が卑金属を貴金属に変えることだというのは通俗的認識で、それは錬金術師たちが王侯貴族から研究資金を引き出すための方便だったというのは、巻末に一覧されている資料を読めば必ず出てくる話だと思うのだが、そういう話を始めるとエンタテインメントとして成立させるのが難しくなるので、敢えて通俗的認識のみに絞ったのか。それとも通俗的認識しかできないような日本語訳(Alchemyのどこに錬金などという意味があるのか)に引っ張られたのか。
金の錬成シーンでは、えらく直球な元素変換が起きていることを思わせる描写(放射線防御のために鉛の箱を使うなど)がされていて、それならばいかなる金属であろうとも、かなり自由に作れそうなものなのだが、そうであるのならば、何も金にこだわる必要などなくて、各種レアメタルをその日の相場に合わせて錬成すりゃいーじゃねーか(そうでないなら、なぜ金以外を練成する研究をしないのだ)、などというある種無粋な突っ込みも、おそらくは「駄目なオヤジ」である主人公の父の描写には向かないので敢えてそうしたのだと思いたい。
その他、文章とか喩えとかがいまいち私の好みと合わないのだが、完全な引きで終わっているし、物語自体は魅力的なので、続刊も買うことにする。

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